約20年ぶりに『ブリキの太鼓』を鑑賞。
相変わらず強い印象を残してくれる映画。
カンヌ映画祭では『地獄の黙示録』とパルム・ドールを分け合ってます。
舞台はポーランドのダンツィヒ。
時代は第一次世界大戦終わりから第二次世界大戦にかけて。
だらしない大人たちの姿に幻滅し、3歳で自ら成長することを止めたオスカルを主人公に繰り広げられる物語。
ブリキの太鼓を常に首から下げ、奇声を発してガラスを破壊することで周りに対して抵抗を示すオスカル。映画で描かれる様々な猥雑なシーンは人間のリアルなを姿をさらけ出させている。当初幻滅していたはずのオスカルもいつのまにか同じ行動を・・・ (映画全編がある意味で淡々と語られるため、このあたりメリハリがあまり感じられないのだが・・・)
オスカルの独善さなのだろうか。
この映画でのオスカルの存在は、世の中を達観した存在として描かれているのだが、世の中と親密なコミュニケーションをとろうとする存在ではない。これがまた映画の独特さをかもし出しているのだろう。
なんと言ってもオスカル役のダーヴィット・ベネントの演技が凄い。
赤ちゃん役から3歳児、最終的には21歳まで演じる。当時の実年齢は12歳位だったらしい。
子供時代はまさに子供、大人の時代は大人びた顔をし小人症の大人を感じさせる。
奇声を発する演技は鬼気迫るものがある。また猥雑なシーンも平然とした顔で恐ろしささえ感じてしまう。
ギュンター・グラスの小説の映画化であり、小説未読の為ニュアンスが映画でそのまま描かれているのか個人的にはよく分からないのだが、映画自体がパワーがあるため観ていて十分おもしろい。
ただ一見何となく納得してしまうのだが良く考えてみると疑問が湧き出てくる部分がある。
戦争の時代を駆け抜けた3代の家族にまつわる(そしてオスカルも子供を産むため4代か?)の物語。
小説読んでみないといけないかも・・・
製作年度 1979年
製作国・地域 西ドイツ/フランス
上映時間 142分
監督 フォルカー・シュレンドルフ
製作総指揮 -
原作 ギュンター・グラス
脚本 ジャン=クロード・カリエール 、フォルカー・シュレンドルフ
音楽 モーリス・ジャール
出演 ダーヴィット・ベネント 、マリオ・アドルフ 、アンゲラ・ヴィンクラー 、ハインツ・ベネント 、ダニエル・オルブリフスキー
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